デジタル名刺の導入で技術は簡単な部分です。だからこそ、それ以外が軽く見積もられます。
止まる理由を4回見てきて、毎回同じ4つでした。どれも技術の話ではなく、4つとも半日で決められます。ただし、発注の後ではなく前に決めた場合に限ります。
プロフィールの所有者を決める
1年分の混乱を防ぐ決定なのに、意識して決めている会社はほとんどありません。
会社がプロフィールを所有していれば、営業担当が辞めたとき、担当を引き継ぐ人を指すように書き換えるだけで済みます。その人が2年かけて配ったカードは全部生き続け、しかも今度は対応できる人につながります。実在する資産ですが、必要になる日まで存在に気づきません。
個人が所有していれば、プロフィールは本人と一緒に出ていきます。そこに印刷されていたものも全部です。
どちらも正しい選択です。士業のパートナーなら自分で持つべきでしょうし、20人の営業チームならたぶん違います。正しくないのは、どちらを選んでいたのかを退職予告の期間中に知ることです。
決めて、1行で書いて、入社時の資料に入れてください。
配る前にプロフィールを埋める
プロフィールが空のまま配られたカードは、カードが無いより悪いです。失敗が人前で起きるからです。顧客の前でかざされ、初期表示が出ます。
カードを配ってから「各自プロフィールを入力してください」とお願いしないでください。何人かはやり、多くはやらず、1か月それを追いかけることになります。
まとめて埋めます。氏名、役職、会社名、電話番号、会社サイトのリンク、そして写真。人事がすでに持っているデータから、1人が一括で作れます。そのうえで、すでに動くカードを渡し、間違いがあれば直してくださいと伝えます。作るより直すほうが、頼みごととしてずっと軽いからです。
飛ばされがちなのは写真で、実はいちばん重要です。受け取った相手は1時間前に会った顔を思い出そうとしている、というのがそもそもの目的だからです。
言うセリフを渡す
意外に思われる点で、そして使われない最大の原因です。
商談の場で、新しい機能のあるカードを持っていて、何と言えばいいか分からない。だから普通の名刺として渡して、そこで終わります。
セリフを渡してください。飾らない言い方で構いません。「連絡先、そのままお入れしましょうか」。かざして、保存される。チームの定例で一度、声に出して、お互いの前で練習します。90秒くらい馬鹿らしく感じますが、カードが習慣に変わります。
日本では順序も明示します。まず紙の名刺を両手できちんと差し出し、かざしてもらうのは、会話の中で連絡先の話が出たあと。これも声に出して伝えてください。でないと、初対面でいきなりかざしてもらう人が必ず出て、しかもそれが失礼だったことは本人に伝わりません。
4週間後、営業責任者と振り返る
情シスとではありません。ここでのつまずきは行動の問題で、情シスからは何も見えません。
4週目に3つ聞きます。一度も使っていないのは誰で、なぜか。プロフィールがまだ間違っているのは誰か。そして現場で実際に何と言ったか。ここからは、こちらが渡したセリフより効く言い回しが1つ出てくることが多いです。
探しているのは、一度試して相手の端末でうまくいかず、静かにやめて引き出しにしまった人です。どの導入にも必ずいて、自分からは言いません。
CRM 連携を待たない
導入が永遠に始まらない一番よくある理由が、CRM にきちんとつなげるまで待つことです。
まずカードを動かしてください。1四半期使ってもらい、その連絡先が実際に案件につながっているかを確認します。つながっているなら、何を自動化すべきかとその理由が正確に分かります。つながっていないなら、誰も使わない業務フローの連携工事を1本節約できたことになります。
失敗を見た導入は、全部人の側で失敗していました。データが CRM に流れていなかったから失敗した例は、ひとつもありません。