デジタル名刺の「連絡先を保存」を相手が押すと、相手のスマホは小さなvCardファイルをダウンロードし、自分の連絡先アプリで開きます。あなたの情報はすでに入力されています。保存を押せば、あなたはその人のアドレス帳に、ほかの知り合いと並んで入ります。アプリを入れることも、文字を打つこともありません。その連絡先に何が入り、1か月後にどう見えるかは、ほとんどの人が確認しないいくつかの点で決まります。
「連絡先を保存」を押したときに起きること
vCardは、テキストで書かれた連絡先ファイルで、ふつうは.vcfという拡張子です。AnimaNextが使っているvCard 3.0は、1998年9月にIETFがRFC 2426として公開したもので、だからこそ、あなたが出会うほぼすべてのスマホが開けます。ブラウザがファイルを受け取り、連絡先アプリに渡し、連絡先アプリが入力済みの新規連絡先の画面を出します。
iPhoneなら、おなじみの新規連絡先の画面に作成のボタンがついたものです。Androidなら、その端末のメーカーの連絡先アプリなので見た目は違いますが、できあがる連絡先は同じです。
連絡先に入るもの
AnimaNextのvCardは公開プロフィールから作られ、入力した項目だけを含みます。入りうるのは次のものです。
- 氏名。姓と名は別々に保存されます
- 会社名
- 役職
- 電話番号。WhatsAppの番号だけを載せている場合はそれ
- メールアドレス
- ウェブサイト
- 所在地
- 自己紹介。メモ欄に入ります
- プロフィール写真。小さな画像としてファイルの中に入ります
- プロフィールページへのリンク
写真はリンクではなくファイルの中に入れています。iPhoneの連絡先アプリは、ウェブから取りに行く必要のある写真を読み込まないからです。ファイルが軽く、すぐに保存できるよう、写真は縮小しています。
SNSのリンク、会社の紹介文、投稿はプロフィールのページに残ります。プロフィールへのリンクがファイルに入っているのはそのためでもあります。それ以外のすべてに戻る道だからです。
判断の基準は紙のときと同じです。見知らぬ人に印刷して渡さないものは、プロフィールにも載せない。そうすればファイルにも入りません。載せる順番についてはデジタル名刺に載せるべきもので詳しく書きました。
名前を正しく保存してもらうには、特に日本では
vCardの中で、名前は部品に分けて保存されます。RFC 2426はその順番を、姓、名、ミドルネーム、敬称(前)、敬称(後)と定めています。どう表示するかは、受け取ったスマホが決めます。iPhoneでは、設定、アプリ、連絡先に「表示順序」があり、名を姓の前に出すか後に出すかを選べます。「並べ替え順序」で、姓と名のどちらで並べるかも決まります。
実務上の意味ははっきりしています。姓は姓の欄に、名は名の欄に入れてください。ふだん逆の順で書き慣れていても同じです。名前全体をひとつの欄に入れたり、順番を変えたくて姓と名を入れ替えたりすると、連絡先が間違った行に並ぶ原因になります。
日本人の名前には、もうひとつ問いがあります。ローマ字でどちらを先に書くかです。2020年1月1日から、日本政府が英語などで作る公用文では、日本人の名前を姓を先にして書いています。根拠は2019年10月25日の関係府省庁申合せです。姓と名を区別する必要がある場合は、YAMADA Haruo のように姓をすべて大文字にします。同じ申合せは、地方公共団体や民間にも、差し支えのない限りこの順を使うよう配慮を求めていますが、名を先に書く人や会社もまだ多くあります。
どちらの順でも構いません。プロフィール、紙の名刺、メールの署名がそろっていれば、保存した人は机の上の名刺と連絡先を結びつけられます。名刺交換そのもののマナーについては日本で使えるデジタル名刺の条件に書きました。
保存された連絡先は自動では更新されない
保存した連絡先は勝手に最新になる、と思っている人は少なくありません。実際には、vCardを保存した時点で、それは相手のスマホの中のコピーになります。あなたがプロフィールで役職や電話番号を変えても、先月保存された連絡先はそのままです。
それでもカードはここで役に立ちます。理由は二つあります。カードをもう一度タップするか、連絡先に保存されたプロフィールのリンクを開けば、いつでも最新の内容が出ます。そして会う前にあなたを確認するときに見られるのはたいていプロフィールなので、古くなった電話帳の1行が損になる可能性は、引き出しに残った古い紙の名刺より小さくなります。
電話番号が変わったら、よく連絡を取る相手に一言送っておく価値は、昔と変わらずあります。
先に自分のスマホで確かめる
誰かにカードを渡す前に、自分のスマホにタップして「連絡先を保存」を押し、できあがった連絡先を見てください。名前が正しい行に並ぶか、電話番号に発信できるか、メールで新規作成が開くか、リンクでプロフィールが開くか。それから一度、もう一方のOSの友人のスマホでも試します。2分の確認で、「登録した電話番号が違っているみたいなのですが」で始まる、少し気まずいメールを防げます。