仕組み

NFC名刺の中には、実際に何が入っているのか

コイルとチップと一行の文字列。あとはスマホが引き受けます

著者 Carlos Lastres更新 2026-11-034 分で読めますEnglish

要点

  • NFC名刺はパッシブ型のタグです。電池はなく、読み取るスマホから13.56MHzで電力を受け取ります。
  • よく使われるタグのチップは、メモリがごくわずかです。NXPのNTAG 213、215、216のユーザー領域は144、504、888バイトです。
  • 名刺に必要なのはウェブアドレス一つだけです。標準のURIレコードはアドレスの先頭を1バイトに縮めるので、いちばん小さなチップでも余裕があります。
  • NXPはこのチップの系統について、データ保持10年、書き込み10万回と定めています。32ビットのパスワードで書き換えを防ぐこともできます。
  • バックグラウンド読み取りに対応したiPhoneは、リンクの通知を表示します。Android 16はウェブリンクを通常のリンクと同じように開き、Android 17は先に「リンクを開く」通知を出します。

NFC名刺を分解しても、中に大したものは入っていません。カードの内側をコイル状の配線が一周していて、その先に小さなチップが付いているだけです。チップが持っているのはウェブアドレス一つ。誰かがかざしたときに見える写真や役職や「連絡先を保存」ボタンは、すべてウェブページの側にあります。

この作りを知っておくと、プライバシーは大丈夫か、なぜ充電が要らないのか、といったよくある疑問のほとんどに答えが出ます。

チップに電池はない

NFCカードはパッシブ型です。スマホが近づくと、読み取り機が13.56MHzの磁界を出し、カードのコイルがそこから電力を受け取ってチップを起こし、応答します。スマホが離れれば、カードはまた何もしない状態に戻ります。

距離が短いのはそのためです。十分な電力を受け取るには、カードがスマホのアンテナにほぼ触れている必要があります。厚いケースや金属のリングホルダーで読み取れなくなるのも同じ理由です。スマホから電力を受け取るまで何もしないので、財布に入れっぱなしでも消耗しません。

どれくらい保存できるか

ほんのわずかですが、それで足ります。NXPのNTAG 213、215、216がわかりやすい例です。これらはNFC Forum Type 2タグで、NXPが示すユーザー領域は144、504、888バイトです。短い段落ひとつ分の文章で、いちばん小さなチップは埋まります。

名刺はリンクを、URIレコードを含むNDEFメッセージとして保存します。AndroidもiPhoneも探しにいく形式です。このレコードは、アドレスのよくある書き出しを1バイトの番号に置き換えて容量を節約します。Androidのドキュメントでは、1バイトがリンク先頭のhttps://www.の代わりをしている例が示されています。ドメインと名前を組み合わせたプロフィールのアドレスなら数十バイトで、144バイトのチップにも楽に収まります。

だから大容量のチップをうたう売り手がいたら、何に使うのかを聞いてみてください。プロフィールを開くだけのカードなら、余ったメモリは空のままです。

連絡先ではなく、リンクを保存する理由

名前や電話番号を、連絡先データとしてチップに直接書き込むこともできます。その場合、内容が変わるたびにカードを書き直すことになり、読み取った人の手元には二度と更新できない写しが残ります。

リンクを保存すれば、連絡先はあなたが管理するページに移ります。役職や電話番号を変えれば、これまでに渡したすべてのカードが新しい内容を開きます。カードを落としても、拾った人が知るのは、プロフィールですでに公開していたことだけです。その場合についてはカードをなくしたらどうなるかで詳しく書きました。

どれだけ持つか、誰が変えられるか

NXPはNTAG 21xのチップについて、データ保持10年、書き込み10万回と定めています。読み取りは書き込みの回数に数えられないので、毎日かざされるカードでも何かを使い減らしているわけではありません。実際には、メモリよりもカードの素材やアンテナのほうが先に傷みます。

確かめておきたいのは書き換えです。何も設定されていないタグは、対応アプリがあればどのスマホからでも書き換えられます。NXPのチップはロックと32ビットのパスワード保護に対応していて、失敗回数の上限も設定できます。つまり、他人がリンク先を変えられないように設定できます。さらにオリジナリティ署名を持っていて、ソフトウェアがNXP純正のチップかどうかを確認できます。

相手のスマホがしていること

iPhoneは、ウェブアドレスなど対応するリンクを含むURIレコードを探します。バックグラウンド読み取りに対応した機種では、システムがリンクの通知を表示し、それをタップするとページが開きます。Appleは、バックグラウンド読み取りが止まる場面も挙げています。カメラやApple Pay Walletの使用中、機内モードのとき、アプリが独自にNFCを読み取っている最中、そして端末が一度もロック解除されていないときです。

Androidは、NFCが設定でオフになっていない限り、画面のロックが解除されているあいだタグを探しています。Googleのドキュメントによると、Android 16からはウェブリンクを持つタグを、ほかのリンクと同じように開きます。Android 17からは、まず「リンクを開く」通知が出て、相手がそれをタップして先に進みます。ひと手間増えますが、本人が選ばない限りページが開かないということでもあります。

どちらの場合も、何もインストールされず、相手から何かが送り返されることもありません。そもそもどのスマホで読めるのかが気になる人は、タップ式の名刺は、どのスマホでも使えるのかを読んでみてください。

よくある質問

NFC名刺に電話番号は保存されていますか

多くの場合、保存されていません。よく作られたカードが持っているのは、プロフィールへのリンクだけです。連絡先はそのページにあるので、カードに触れずに内容を変えられます。

カードをコピーされたり書き換えられたりしませんか

リンクを読み取れるのは名刺として当然なので、誰でも読めます。書き換えは別の話で、NXPのNTAGのようなチップはロックやパスワード保護ができ、他人のスマホからリンクを変えられないようにできます。

チップはどれくらい持ちますか

NXPはNTAG 213、215、216のデータ保持期間を10年としています。読み取りは書き込みではないので、何度かざされてもメモリはすり減りません。

iPhoneがカードに反応しないことがあるのはなぜですか

Appleは、バックグラウンド読み取りが止まる場面を挙げています。カメラやApple Pay Walletの使用中、機内モードのとき、そして一度もロック解除されていないときなどです。

出典

カード1枚で、連絡先はいつでも最新に。

AnimaNext は、スマートフォンにかざすだけでプロフィールが開く NFC カードです。相手側のアプリは不要、月額もありません。内容はいつでも書き換えられます。

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著者について
Carlos Lastres は東京のインターナショナルデザイン合同会社で AnimaNext を設計・開発しています。プロダクトデザイン歴16年。マーケティング担当ではなく、プラットフォームを実際に運用している立場から書いています。